宇都宮駅へ戻り、宇都宮線に乗って宝積寺へ向かいます。ここからローカル線である烏山線に乗り換え、一路小塙へと向かいます。
25分ほど揺られて着いた小塙駅は、完全なる無人駅。周りは見渡す限り畑が広がり、周りにはお店も無く、人っ子一人いやしません。
ゆるやかな道をまったりと歩いて行きます。人の気配はほとんど無く、綺麗な緑がとてものどか。癒されますね~。
踏み切りを渡ってさらに進むと、看板が見えて来ます。
それに従って曲がると…営業中の看板が。って、お店は何処ですか(笑)。右奥の方に小さ~く建物が見えるのですが、…アレでしょうか?
奥に奥に進むと、おおぉ、あれか!お店が見えて来ましたよ。まさしく秘境だぁ^^;
今回の目的地である
「とっちゃん家」に到着です!
そんなこんなでたどり着いたとっちゃん家。元は水力発電所だった建物をリフォームしたそうです。
店内は雑然としていて、テーブルの一つで大将…この方が「とっちゃん」でしょうか?一心不乱にカボチャの面取りをしております。綺麗な奥様が、お水とメニューを持って来て下さいました。
こちらはうどん屋さんではなく定食屋なので、メニューはエビフライやオムライスがメインです。「M嬢プレート」なる、謎のセットメニューもありますね。
今回の目的は、メニューの下にある
「ちたけうどん」。ちたけとは栃木県で主に食べられるキノコで、それを使った地元うどんなのだそうです。
「良かったらどうぞ」と、奥さんが見せて下さった栃木県の情報誌に、こちらを教えて下さったむらさきさんの記事がありました。うお!こんなに著名な方でしたとはッ!;゜Д゜)
※むらさきさんのブログ「1000円グルメの日々 in 宇都宮」はこちら! 先ほどのM嬢プレートも、常連であるむらさきさん(M嬢)の要望により生まれたメニューなのだそうです。そんなこんなで感動していると、大将がサービスです、とプレートを置いて行きました。
こ、これがサービスですかっ!すんごい美味しそうなんですけれども。
どれもこのお店の周りで取れたものだそうで、お味濃厚で美味美味。真ん中のは栗でしょうか?甘みがあって美味しいです。
さらに出て来たのは梅ジャム。梅を冷蔵庫に一年置いたものだそうで、ちょっと発酵したまろやかさと梅の酸っぱみがとても上品です。
それからしばらく待って、いよいよちたけうどんの登場です。うははははー!凄い!大量のうどんの上には茄子、油揚げ、そしてちたけ!キノコの香りが離れていてもぷんぷんします。
ダシはもう、キノコキノコキノコ!といった感じ。椎茸などよりもやや土臭く、それが郷愁を感じさせます。塩や醤油などは控えめな様で、野菜や油揚げの旨味が周りを支えています。最初は薄味に思えたのですが、飲みなれてくるとしみじみと美味なのです。
うどんは細めの乾麺ですね。ちょっとピロピロとしていて柔らかめ。ちたけダシが良く絡んでとても美味しいです。具はどれも味が濃厚。茄子とキノコと油揚げというありふれた食材で、ここまで味が違うのか~と感動してしまいました。
こちら、美味しそうだったので思わず注文してしまった自家製プリン210円。
持って来て下さった時から形が崩れていて、大丈夫か?と思ったのですが、一口食べて
胸からこみ上げるものが。号泣です。こんなに美味しいプリン食べた事ありません。まさかプリンで泣くとは思いませんでした。
帰り、歩いて来られたんですか?と奥さんに聞かれたので、事のなりゆきを説明しますと、ほーう、私も東京にいたんだよ、と、大将がご自身の身の上を語ってくれました。
なんとここの前は東京の有名ホテルにいらしたそうで、今でも料理学校の講師として、週2回出向いているとの事。和食担当の息子さんも有名な和食のお店にいらしたそうです。
以前から、この近くにデパートが出来た時にはそこでシェフをしてくれと頼まれていて、実際に出来てこちらに移って来てしばらく勤めた後、水力発電所であったこの建物を改築してお店を始めたのだそうで。
また、ちたけについても説明して下さって、元は乳茸という名前だったそうで、キノコから白い液が出て来るそうです。これを茄子などと炒めると旨味が出るとか。1キロ20,000円はして、東京などに卸す時は高級食材となるそうです。大将もご自身で山に取りに行かれるそうで、
■私はちたけ名人と呼ばれている
■今はちたけが最も美味しい旬の時期
ここの所を特に強調しておいてくれよな!との事でした(笑)。
帰りにはたくさんのおみやげまで頂いてしまい、長い旅路でしたが、とても思い出に残る食事となりました。是非またいらして下さいと言われたので、絶対にまた来ます、と告げてお店を後にしたのでした。どうもお世話様でした!